設備投資はどのタイミングがベストか?

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設備投資は印刷製本会社にとって大事な事業活動の1つであり、経営者の意思決定が必要です。大きな会社になると各部署、各責任者の判断も反映されますが最終決定権は経営者にあります。やみくもに高い設備投資する経営者は少ないですが、中には補助金を受けられるなら購入しておくかという打算的な考えで投資に踏み切る経営者も少なくはないです。

さて、投資と言っても様々で設備、人、不動産、有価証券など会社にとっての資源は多くありますが印刷製本会社にとっての多くは設備投資が大きなウエイトを占めています。今回ご紹介する内容は実際に弊社で取り組んだ内容の一部です。

三富での取り組み

まずは印刷製本業界の今後の予測社内の問題個所の抽出です。予測については別ページでご紹介しています。社内の問題については現場の意見を拾い上げ、三富の営業部門とかけわせています。

紙以外の媒体を活用・ウェブサイトの活用

現在三富ではグループ全体でこの動きを活性化させています。特にウエブサイトの活用は2014年以降アップデートを繰り返し現在に至っています。見積書作成フォームの設置や特殊加工にはどのようなものがあるのか?これから印刷製本業で働く方たちへの指導をウエブから間接的に行っています。この活用が功を奏してかお問い合わせ件数は軒並み増加傾向にあり、新規受注に結びつけースも増えたため売り上げは増加傾向にあります。一方、現場サイドでは人件費高騰、原材料価格高騰に押され利益率は大幅に減少傾向にあります。この部分を改善するためにも効率を上げる設備投資は急務であり2018年より積極的な設備投資を行ってまいりました。また設備投資には目先のお金が必要であるため補助金活用をしています。補助金活用には我々中小零細企業にとってはハードルが高い部分もありますがクリアしていかなければ何も始まらないと考え業界に特化した補助金サポート事業をも事業化したしだいです。

デジタルマーケティングとアナログ製本機の統合

製本という印刷会社から預けられた刷り本を加工するだけの下請け産業では、正直単価交渉や納期の交渉でのスケジューリングでしか生き残る道がありませんでした。多くの製本会社で同じような思いはあるかと思われます。弊社では2019年後半から単価交渉をした結果、受注量は減り、生産体制を維持することにも限界を感じていました。その中で製本会社でできることを探り、グループ会社である昌利紙工業株式会社の老朽化した中綴じラインの入れ替えを三富営業部門で何かできることはないかを探り、結果営業さんが求めるもの、クライアントが求めるものは何かを必死で探した結果、現場で今困っていること、煩わしいこと、どの対応が一番ネックになっているかを探し当てたところ、多くの課題が見つかりました。

現場の困っていること

  1. 現場の進捗状況をお客様からお問い合わせされる。
  2. 積み付けのパレット枚数を聞かれる。
  3. 冊子の1部当たりの重量や梱包単位の重量を聞かれる。
  4. 行先別の札紙作成が煩雑。
  5. クレームが発生した時の全数再検品要請。
  6. 機械停止のログを求められる。

営業が求めていること

  1. 生産状況の具体的な数字
  2. クレームなど問題個所がなぜ発生・流出したのか?
  3. 生産性・効率の良いやり方、面付け指定など。
  4. 現場でコストを減らすには?
  5. 見積もりの即答。

経営者目線

  1. 現場と営業の風通しを良くしたい
  2. 効率よく生産を上げ利益率を維持したい。
  3. クレーム件数を減らしたい。
  4. 継続的な設備投資をしたい。
  5. 賃上げできるよう経費削減したい。

以上が社内、グループの問題であった。

課題からの整理

まずは課題がわかったところで、いったん整理を始める。何を整理するかというと課題のすべての件を数値化することから始めた。

数値化してわかること

実際の数値化にはデータ取りが必要なため社員個人個人の協力が必須です。例えば現場での生産者の日報の正確性、トラブル箇所や時間の明示などです。管理的な要素の中ではパレット積み付けの問い合わせ件数、かかってきた電話応対の数量、時間などです。非常に細かい作業の連続ですが、3か月間という具体的な終わりが見えれば大した作業ではありません。ここからデータの収集に移り、経営者目線とすり合わせを行います。経営者は自分の特権として、個人の思いや権限を行使できますがここではいったん会社の最高責任者という業務を合わせることにします。データをとると想像以上に電話応対や見積もりしている時間が多いことに気が付きます。弊社の場合、ものを探す時間、例えば2か月前の日報や記録を探す時間などです。ものを探す時間=生産が止まっている状態です。

課題解決に向けて

やらなくてはいけないことは見えてきました。

  1. 生産している際の機械のデータどり、ログ保管。
  2. クレーム件数を0に近づける。
  3. 作業員の付帯作業の軽減。
  4. 管理者の電話数の削減。
  5. 現場・営業・管理者との情報共有。

投資計画の策定

  • 設備のイメージ
  • メーカーの選定
  • 設備の場所確保
  • 誰がどのように運用するか?
  • 事業計画の見直し
  • 設備資金の準備

具体的にはこのような内容を吟味していきます。ここまでかかった期間は問題提起から約半年です。

補助金の活用

設備投資計画が策定できたら、金融機関、顧問税理士等と具体的な打ち合わせをしていきます。

  • 設備投資時期はいつ?
  • 設備投資のよる効果の予想
  • 新事業計画の策定
  • どの補助金が要件にあうか?
  • 実際の計画実行者は誰か?

などを並行して議論していきます。

ものづくり補助金・再構築補助金の活用

要件にあう補助金をみつけます。実はこの作業は専門家知識も一部必要なため非常に難儀します。なにしろ補助金の公募要領などを読み解くだけでも頭の痛い作業です。弊社ではグループ全体で各担当を選任し定期的に勉強会を開催し、専門家に頼らず自分たちの手でこの作業を行っています。さらに申請、手続きすべてを自社内で完結しています。

効果の確認

いずれの補助金も未だ完了報告、年度報告途中のものもありますが、クレーム減、従業員の負担軽減、資金繰りにおいては予想以上の効果をもたらしています。

そして何より、補助金の良さは自分たちの会社の力量を具体的に把握することができ、問題解決にむけての改善が進むことが最大のメリットです。

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